2013年10月26日土曜日

第 26 回東京国際映画祭 クロージングセレモニー


昨日 、 第 2 6 回東京国際映画祭クロージングセレモニーが行なわれました。

■ 日時・場所 : 10 月 25 日 ( 金 ) 18:0 5 ~ ■
会場 : 六本木ヒルズ スクリーン 7

東京 サクラ グランプリを始めとする各賞の受賞作品と受賞者が発表されました。

コンペティション
・東京 サクラ グランプリ  東京都知事賞   『ウィ・アー・ザ・ベスト!』 (監督:ルーカス・ムーディソン)
・審査員特別賞   『 ルールを曲げろ 』 (監督: ベーナム・ベーザディ )
・最優秀監督賞   ベネディクト・エルリングソン (『 馬々と人間たち 』)
・最優秀女優賞   ユージン・ドミンゴ (『 ある理髪師の物語 』)
・最優秀男優賞   ワン・ジンチュン (『 オルドス警察日記 』)
・最優秀芸術貢献賞   『 エンプティ・アワーズ 』 (監督: アーロン・フェルナンデス )
・ 観客賞   『レッド・ファミリー』 (監督: イ・ジュヒョン )

アジアの未来
・作品賞   『 今日から明日へ 』 (監督: ヤン・フイロン )
・ スペシャル・メンション   『 祖谷物語 -おくのひと- 』 (監督: 蔦哲一朗 )

日本映画スプラッシュ
・作品賞   『 FORMA 』 (監督: 坂本あゆみ )

日本映画スプラッシュ部門 の作品賞には、映画監 督を目指して熊本から上京した坂本あゆみ監督の長編初監督作品 『 FORMA 』が 選ばれました。 クリスチャン・ジュンヌさん が審査委員を代表して、 「 8 本の作品を審査しま し た。どの作品からもエネルギーを感じとることが できました。受賞作品は、ビジュアルも物語も豊か 」と 讃えました 。坂本あゆみ監督は、「このような賞をいただき胸がいっぱいで言葉が 出 ませ ん。 6 年前に 製作 を始めたのですが、体調を崩したりと、 6 年もかかって 作り ました」と涙の止まらない受賞となりました。
アジアの未来部門では、 ジェイコブ ・ウォングさん が今年の東京国際映画祭 で この部門が リニューアルされたことを称し、 「この賞があっても なくても、 これからも 若手のフィルムメーカーに は 、自分が 作り たいと思う映画を 作って もらいたい」とコメント。 続いて 、 釜山と東京の二つの 国際映画祭の審査委員を務められた 青山真治 さん から 、 「二つの国際映画祭を通して 20 本の映画を見ましたが、笑える映画がひとつ もありませんでした。問題意識を追求するために最も観客にアピールするのは 、 笑いである」と述べた上で、「 二 本選びました。作品賞は 一本ですので、もう一本は、スペシャル・メンションとしました。『祖谷物語-おくのひと-』です 。作品賞は、『今日から明日へ』です」と 発 表 されました。トロフィ ー を受け取ったヤン・フ イ ロン監督は、「ありがとうございます」と発言するのが精いっぱいなほど 、 感動されていました。
コンペティション部門では、まず、 今朝発表 された 観客賞作品 『 レッド・ファミリー 』 のイ・ジュヒョン監督と出演者の皆様を再びステージで紹 介 しました 。 イ・ジュヒョン監督は、 「 キム・ギドク 氏 の素晴らしい脚本とここ に いる素晴らしい俳優 に感謝します。作品からのメッセージが観 客に伝わっていると感じてい ましたが、この賞がそれを証明してくれました」と改めて喜びの 言葉 を述べました。
最優秀芸術貢献賞に選ばれた『エンプティ・アワーズ』について 、審査委員長チェン・カイコー さん は 、 「 受賞作品は素晴しい青春映画 。 愛と、大人の世界を初めて知る喜びに満ちた作品 」 と 称しました。 アーロン・フェルナンデス監督 は 、 既にメキシコでのプロジェクトに着手し ているため、 本作品のセールスエージェント、そして監督の友人である フレデリック・コルヴェス氏が代理で受賞し、その後フェルナンデス監督 からのビデオメッセージが紹介されました。 「コンニチハ!先ほど素晴らしいニュースをいただきました。本当に嬉しいです。今回の受賞 に は、 特別な意味があります。 製作 チームが初めて受賞した賞だからです。東京で私の代わりにお酒を飲んで祝ってください ! 」
寺島しのぶさんは、「素晴らし演技と い うものは、スクリーンに人物の息づかいを生み出すものです。一人の人間を何年もの間に渡って描 くことほど 、 難しいことはありません。役に欠点や強さや思いやりを与えつつ、一個の人格として立ち上げることができれば、真に優れた演技 と言えるでしょう」と述べ 、最優秀男優賞の 受賞者を発表しました。トロフィーを受け取ったのは、『オルドス警察日記』で過労死した警察 官を、体重を 10 キロ以上落として演じられたワン・ジンチュンさん。「 監督が頑張ってくださったおかげで、この賞を手にしています」と会場に い る ニン・イン 監督に 敬意を表しました。「私は、家族を愛し、友人を愛し、 映画を愛しています。翼をいただいた気分です。世界を照らす 翼です 」 。そして 最後に 、 「今、 言っておかないと帰ってから怒られるので」と会場で誇らしげな笑みを浮かべていた奥様にも 感謝の言葉を 述べられました。
最優秀女優賞は、ムン・ソ リさんが発表。「素敵な女優さんばかりで、その熱演を見ることができて よ かったと思います。 その中で、特にこの 賞を受賞される方は、私たちを困難な旅 に連れて行ってくれました。 虐げら れ た妻 に始まり、最後は 革命家 になりました。愛情と哀愁と悲 しみを見事なバランスで演じきっておられました。私もこの方に早くお目にかかりたいです」と 讃えました 。『ある理髪師の物語』で主演した ユージン・ドミンゴさん は、 満面の笑みでゆっくりと登壇 し 、「 緊張して い ます。思いも寄らない受賞で、賞金もいただけるなんて! この賞を と ても 重要な方と共有したいと思います。皆さん、信じられないかもしれませんが、実は私は喜劇役者なんです。電気も電話もないみじめ な気持 ち になるような現場の撮影に私を呼んでくださった、本作品の監督である ジュン・ロブレス・ラナさ ん に感謝します 」 と監督やプロデュ ーサー、スタッフに感謝の気持ちを、ユーモアたっぷりに表現されました。
最優秀監督賞は、クリス・ワイツ さん が発表。 『馬々と人間たち』の ベネディクト・エルリングソン 監督は、 トロフィーを頭の上に 掲げ、 「重要 な賞です。これは私だけでなく、クルー、スタッフ、ミュージシャン、出演者 、 そして馬たちのものです。馬たちに言いたいのは 、ヒヒーン! 」と 会場を沸かせました。
審査員特別賞 について、 クリス・ブラウンさん は、 「審査員として は 、作り手がホームグランドで問題定義する、または声を届けたいという 作 品 に 惹かれ ます。ですからその声を支援 し、その正当性を確認 できる という ことは 重要です 」 と述べました。 『ルールを曲げろ』の ベーナム・ベ ーザディ監督 は 、「この賞を、イランの 若者、アーティストやレッドラインを超える勇気ある人々に捧げます」と ペルシャ 語 でコメントされまし た。
栄えある東京サクラグランプリ の受賞作品 は 、審査委員長のチェン・カイコー さん が 、「 最高賞には、卓越した完成度を求めました。情熱と 魅力にあふれ、本物の人間の絆を、生き生きとしたエネルギッシュな演技で描いたこの作品に、審査委員は満場一致で決めました 。『ウ ィ・アー・ザ・ベスト!』 です」と発表。受賞作品のルーカス・ムーディソン監督には、 東京都産業労働局長の塚田祐次さん から表彰状 が、 そして、フェスティバル・ミューズの栗山千明さんから麒麟像が贈呈されました。 ムー ディソン監督は、「 思いもよらない受賞なので驚いてい ます。東京国際映画祭に参加できるだけでも光栄ですので、本当に感無量です。私の妻であるココが 、 この原作を書きました」と、ココ・ ムーディソン さん にマイクを渡しました。ココさんは、「私 は、漫画家 です。この映画を通して、すべての年齢の女性に音楽をやってみたい、 と 思ってほしい です 」とコメントされました。
最後に、審査委員長のチェン・カイコーさんは、東京国際映画祭の 9 日間を振り返り、「 この 一 週間ほど、一生懸命審査委員の任務に 当たりましたし、結果には 大変 満足しています。 東京国際映画祭 は 非常に うまく組織され、運営もスムース でした 。観客は 情熱的 で 、ス タッフの方々も協力 的でした 。東京は、若手の映画人 の 注目を もっと集めて も いいと思います。そう なると、東京国際映画祭に もっとたくさ ん の 優れた 作品が 集まると思います」とコメント しました 。最後に 来年の映画祭に向けて 、 日 本語で「 バイガエシ ( 倍返し ) ! 」と 言って 、喝 采を浴びました。
式の最後には、 東京 国際 映画祭 ディレクター・ジェネラルの椎名保 が 、「受賞者の皆様、おめでとうございます。第 26 回 東京国際映画 祭も 今日が最終日となりました。台風と台風の間を上手く 切り抜け 、天候に恵まれた 映画祭でした。もうひとつの台風 は 、閉会式が終わ るのをじっと待っています」とコメント し、また、 2020 年オリンピックの東京開催が決まったことに触れ、「東京オリンピックまで 7 年。映画祭は 、 7 回 あります。一年一年積み重ねて盛り上げていきたいと思います。また 来年 、 東京でお会いしましょう!」と締めくくりました。

2013年10月18日金曜日

第 26 回東京国際映画祭 開幕 !


10 月 17 日、 爽やかな秋晴れの下、第 26 回東京国際映画祭が開幕しました。
フェスティバル・ミューズを務める栗山千明さんが 、 けやき坂に敷かれたグリーンカーペットを先導。「できる限りの力を発揮し、見にきていらしている皆さんと 盛 り上げていきたい」、また 海外に向けては 、 「映画を通して、日本 の素晴らしい面を知っていただきたい」と挨拶されました。その他、フェスティバル・ナビゲ ーターの斎藤工さんと山崎紘菜さん他、国内外から多くの映画人が登場 し、沿道のファンの握手やサインに応じました 。 グ リーンカーペット の 最後を飾っ てくださったのは 、 本映画祭での オープニング 上映がワールドプレミアとなる 特別招待作品『キャプテン・フィリップス』のポール・グリーングラス監督 と 主演のト ム・ハンクスさん 、 そして クロージング作品『清須会議』の 三谷幸喜監督と主演の役所広司さん でした。
会場を TOHO シネマズ 六本木ヒルズ スクリーン 4 に移し 、 上野道明 さん の 印象的な チェロの 独奏 と 栗山千明さん の 歓迎の挨拶でオープニングセレモ ニーが開催されました。今年の司会は、笠井信輔さんと服部真湖 さん が務めてく ださいました。
最初に登壇された 茂木敏充経済産業大臣からは、「 今、 日 本の映画を始め 、日本の コンテンツが世界 から大きな 注目を 浴びており、そして さらに大き なポテンシャルがあると感じています。 経済産業省としても このような 日本の魅力を積極的に 海外展開し、その成長を取り込ん で い く 、 そのためにクール ジャパン戦略を展開しています。 これから更に日本が再生し、新しい希望に満ち溢れた日本をつくるために一丸となって皆さんと一緒に政府も頑張って いきたいと思っています」と奨励のお言葉を送って 頂きました 。
今年の東京国際映画祭でリニュ ー アルされた二つの部門の審査委員、そしてコンペティション部門の国際審査委員が紹介されました。 これからのアジア 映画界をリードしていく若い監督の作品を集めた「アジアの未来」の青山真治さん、ジェイコブ・ウォンさん、野島孝一さ ん 。 日本から世界へ、強い個性の ある作品を紹介する「日本映画スプラッシュ」のパオロ・ベルトリンさん、クリスチャン・ジュンヌさん、 瀬々敬久 さん 。 「 コンペティション 」 の チェン・カイコーさん、 ムン・ソリさん、クリス・ブラウンさん、クリス・ワイツさん、 寺島しのぶさん です
国際審査委員を代表して審査委員長のチェン・カイコーさんは、「 ご招待いただき光栄に思います。実は昨日 、 台風のため欠航が続き北京国際空港 で足止めとなりました。 しかし、 映画をつくる人間は、台風よりもひどい状況に 直面することあります 。ここに多くの映画関係者の方がお集まりになっていま すが、映画撮影は大変なことなのです。映画 作りは 、暗闇に光を差し込むような 仕事 です。 また、 良い作品には、作る側の感情、喜怒哀楽、 辛いこと、 懺悔、そして 希望 を見出すことができると思います。今年もコンペティション部門の中でこういった作品を是非 、 見出したいと思います。 トム・ハンクス主演 の『フォレスト・ガンプ / 一期一会』 の中 で 、 “ 人生はチョコレートの箱のようなもの。開けてみないと分からない ” という台詞がありますが、映画とはそういうも のなのです。 私どもは、公平な審査をしていきたいと思います」と コメントしてくださいました。
本映画祭の ディレクター・ジェネラルの椎名保は、「 いよいよ東京国際映画祭が始まりました。来週の金曜日 25 日まで、六本木で映画を楽しんでくだ さ い」と挨拶 しました 。
安倍晋三総理大臣は、「 “ 人生はチョコレートの箱のようなもの ” という台詞ですが、私の人生 もそのようなものです 。 今我々は、新しい経済政策を進め ています。正にこれから日本の経済を成長させようと思っていますし、その中核が日本のコンテンツ産業でもあります。日本のコンテンツをどんどん世界に 発信していきたいと思います。 “ それは奇跡ではない。私たちが月に行こうという意志を持っていたからだ “ これは『アポロ 13 』 の ラベル船長を演じていたト ム・ハンクスさんの台詞です。日本の経済を再生できるかどうか、そして日本の映画を世界に発信していけるかどうかは、私たちの意志にかかっているのだ と思います。日本の映画産業には大きな可能性があります。その可能性を引き出して いこうという 挑戦をする人たちを、私たちは応援して い きた いと思い ます。日本の映画界の発展、そして東京国際映画祭の成功と 更には世界の映画が 多くの人々に これからも大きな感動 や興奮や勇気や夢を与えてく れることを祈っています」と力強いエールを頂きました。
その後、 トム・ハンクス さん とポール・グリーングラス監督にもご登壇いただき、 安倍 総理と共に 記念撮影を行いました。 トム・ハンクス さんからの 、 「これから 9 日間、素晴らし い 映画 がたくさん上映されます。 さっそく始めましょう!」というメッセ―ジでオープニングセレモニーは 、閉会となりました。会場では 引き続き、オープニング作品である『 キャプテン・フィリップス』 が上映されました。